カウントダウン対談 第11回


前回までのインタビューでは「月花‐GEKKA」の中で登場する人物を紹介してきましたが、今回は店の外。
路地裏に住む男を演じる、ぱわぁさんです。夢奇房公演の出演は、第5回公演以来で3年ぶり。
他の演者とはちょっと違う位置づけの役について、語ってもらいました。




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今回演じる役は、他の演者とちょっと違いますね。

ぱわぁ:
(以下、ぱ)
そうですね。
自分の演じる男は、他の演者と違って、「月花」の店の中では一度も出てこないし、
そもそも雰囲気も全然違う。

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そういう自分の役どころについては?

ぱ:
今回の夜の大人の世界「月花‐GEKKA」というように、一つの舞台設定がある舞台って、
どうしてもお客さんからの視点が同じになってしまいますよね。
そうすると、どうしても流れが単調になってしまいます…

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ん~確かに、見ているお客さんとしてはそうかもしれない。

ぱ:
その中で路地裏に住む男の演技は、お客さんにとってはちょっとした休憩の時間だったり、
異質な存在だったりと、そういう存在として機能できればなと思っています。


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ぱ:



舞台全体の中では、スパイスみたいな存在ですね。

紅生姜みたいな存在ですかね(笑)。
いなくても大丈夫なんだけど、いたほうがよりいい。
いればもっと面白くなる!そんな役です。
そんな感じで、舞台に貢献できたらいいなぁって
思います。








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路地裏に住む男、ということで他の演者、つまり「月花-GEKKA」に出入りする人たちとは
立場を異にする役ですが、何度か一緒のシーンで演技しますよね??

ぱ:
そうですね、自分以外の人たちは、すごい美人の女性とか、
自分に自信を持っている男性など、いわゆる社会の“上層”に位置する人たちですよね。
そういう人たちが主役になっている舞台が今回の公演だと思うんですが、
この路地裏の男はその対比に位置する役です。

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そうか!ぱわぁ君が演じる、路地裏の男がいることで、
「月花‐GEKKA」の華やかさがより際立つんですね。

ぱ:


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ぱ:



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ぱ:





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華やかさとの対比として、自分が存在しているのだと、
意識しています。

なるほど~!!影なしに光なし、といったところですね。

今回の舞台「月花-GEKKA」が、上流階級で華やかな
イメージである、ということをはっきりさせるために
自分の役があるんだと思いますよ。

単純ではないゆえに、難しい役ですよね。

そうですね…
自分は演技の時いつも思っているんですが、
役を自分に落とし込んで演じる上で、
その自分が思ったこと全てを出す必要はないと
思っています。

というのは??


ぱ:
役になりきろうというときは、本当にすごくいろいろ考えると思います。
いわゆる台詞や演技では表現しきれないもっと大きなものや根本的なものとか。

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演じる役の人物の育ちや背景とか、ですね。

ぱ:
そうして考え抜いたものを10としたとしても、お客さんには1、伝わればいいと自分は思う。
残りの9は、その自分の役を落とし込んだための材料なんですよね。
すべてを出す必要はないんです。
お客さんに伝える1のつじつまを合わせるためにあるのが残りの9、という感じでしょうか。

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うーん、深い!!







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見に来てくれるお客さんに、伝えたいことはありますか?

ぱ:
夢奇房は、もちろんパフォーマンス自体もすごいものになるよう頑張っているんですが、
すごいものを見るって、他でもできる。
でも夢奇房はそれでは終わらなくて、“今回しか見られない”っていう、そんな舞台なんです。

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確かに!!

  
ぱ:
どの演者も、このストーリーだからこそ、この設定だからこそ、っていう
演技を作り上げてきている。
この公演の中だからこそ生きるものを作り上げてきている!
それが夢奇房の舞台です。
事実、自分が演じるこの路地裏の男も、他のどんな発表会や公演でも演じられない、
今回だけのための演技なんですね。

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誰が欠けても、成り立たない舞台ですね。

ぱ:
そうです、全員がいないと完成しないんですよね。
自分もほかの演者を支えているし、同時に支えられてもいる。

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ぱ:



こういう中で演じるぱわぁ君の演技は、
夢奇房でしか見られないぱわぁ君ですね。

他のどこでもない、夢奇房でしか見られない。
そんな舞台を作れたらいいなぁと思っています!!
本番その場にいた人だけが味わえるような、
そんな舞台を…!!
それを期待して、見に来てもらえたらなあと思います。


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ありがとうございました!
舞台上では一見、地味な役ですが、公演全体でみるととても大事な役柄なんですね!
次回のインタビューは、オープニングを盛り上げるダンサーズの皆さんです!!







1989年3月21日生まれ、21歳。

夢トランク(ICUジャグリングサークル)所属。

夢奇房は第5回公演から参加。
前回出演の第5回の少年役と一変し、
今回はまったく違う印象の役を演じる。

大学では言語学を専攻。
今年の公演の練習時期は、卒業論文の作成時期にも重なり
多忙な日々を送っていたという。

【主な出演作】
2008年 第5回公演「Fruit on the Wedding Cake」
            キョウタ(フラワースティック)