はじめに
どうも。劇場の支配人を務める者です。 この劇場を始めてから、50年くらいになるかのう。 昔はたくさんの人が詰め掛けていたんじゃよ。 しかし、今日はいつもと勝手が違うようじゃ。 さて、今日出会えた「記憶たち」をひとつひとつ 紹介していくとするかのう。 ■各シーンの写真をクリックすると・・・・? |
どうも。劇場の支配人を務める者です。 この劇場を始めてから、50年くらいになるかのう。 昔はたくさんの人が詰め掛けていたんじゃよ。 しかし、今日はいつもと勝手が違うようじゃ。 さて、今日出会えた「記憶たち」をひとつひとつ 紹介していくとするかのう。 ■各シーンの写真をクリックすると・・・・? |
ある時、「支配人」が手に取った一本のタクト。 見覚えのないそのタクトと、朽ちかけた譜面台に置かれたスコアに気づき、 かつてのように観客で埋まるこの劇場に気づいた瞬間、 会場を彩る盛大な音楽たちと共に、「記憶たち」が踊りだす。 |
OZが持ち出した派手な色彩の一本の指揮棒。 タクトは記憶たちの偉大なるマエストロ。 彼が一度その身を翻せば、埃にまみれていた照明たちが輝き出し、 忘れられていた音楽たちが踊り出す。 タクトが指揮する空間に、舞台の記憶たちがその姿を現し 記憶の彼方のShow Timeが今、目の前に蘇る。 |
舞台ではタクトが盛大な曲を奏でている頃、 「支配人」は楽屋でいち早く目覚めた記憶たちと遭遇する。 最も気高く誇り高き女優と謳われたマダム セレヴィと、 その従順かつ有能なマネージャーとして讃えられた従者セバス。 かつての姿そのままに、入念な準備を施し舞台に向かうセレヴィ。 そして、 有能なる従者セバスはセレヴィの居なくなった楽屋の中で・・・。 |
「支配人」さえその存在を知らなかった舞台裏の一室の中。 どこからともなく鈴の音が響く。 どこからともなく足音が奏でる。 どこからともなく手拍子が巻き起こる。 クラベルは、死した魂さえも魅了すると噂された情熱の踊り娘。 劇場に響く有象無象の音色は、 彼女の踊りに魅せられてその目を覚ました魂たちの、 歓喜の歌声なのかもしれない。 |
クラベルの踊りによって目覚めた魂が、その姿を現す。 感情を持たぬ二人のゴースト。 生きとし日々の自分たちを取り戻すかのように、 流れてゆく時間を操りはじめる。 何者かさえ思い出せぬ、朧気な記憶に沈んだ記憶が、 この舞台には、無数に存在している |
音楽は舞台に無くてはならぬもの。 心地よく響くこの瞬間は、 観客席の一人ひとりに届けるたった一度の贈りもの。 今宵の舞台の記憶たちが、 皆々様の心の中で永遠に包まれていくことを願っている。 |
フェアが秘密の部屋から持ち出した 埃まみれの古びた肖像画。 肖像に刻まれた彼の名は、ピエル。 古き時代、この舞台に彗星のように現れ、 多くの観客を魅了しいつしか「王子」とまで呼ばれた1人の少年。 時代の流れと共に、遠き記憶の底に沈んだ少年の肖像は、 再び輝かしき光を浴びて何を思う。 |
何故舞台に立つのかと問われれば 「それは君の瞳が僕だけを見てくれる瞬間だから」。 その素顔は誰よりも不器用で 生涯舞台に立つ事でしか愛され方を知らなかったマジシャン・ハート。 彼が一番覚えたかった魔法は、 彼の本当に想うたった1人の心を奪うマジックだったのかも知れない。 |
この舞台が刻む時は、いつ混沌に紛れたのだろうか。 それとも、彼らの熱き思いが、時さえも動かしたのだろうか。 忘れられた部屋の住人・ポルテとガイスト。 舞台に立つ者とって、拍手を歓声は歓喜の魂。 記憶さえも掠れてゆくほどの長き時、 この瞬間を待ち続けていた2人。 感情を取り戻した彼ら叫びが、この舞台に響き渡る。 |
少女のため息に心を痛めていた。 少女の涙を拭ってあげたかった。 少女の夢を叶えたかった。 記憶たちの音楽を奏で続けた一冊のスコア。 この本に籠められた記憶は、じっとその想いを秘めていた。 自身ための拍手と歓声よりも、少女のささやかな夢を叶える事を願ったスコア。 そんな記憶がひとつくらいあってもいい。 想い続ければ、夢は叶う。 |