あまりにびっくりしたシートは、紙の原っぱまで走ってきていました。
すると、ひとつぶ、ふたつぶ、小雨がふりはじめました。
そこでシートは、ちいさな洞窟で雨宿りをすることにしたようです。
原っぱのとおくにコンフぇのすがたが見えます。
ずいぶんと元気がない様子ですが、どうかしたのでしょうか。
とはいえ、みつかるとまためんどくさそうなので、
シートは洞窟の奥でかくれることにしました。
ところがどうでしょう。洞窟をおくにすすめばすすむほど、
まわりの壁は、銀にかがやく鏡になっているではありませんか。
そしてそこにいたのは、銀の鏡の化身・バウォックです。
バウォックはそっと一枚の鏡をシートにさしだし、その中をのぞくようにささやきます。
■銀の鏡の化身・バウォック■
■鏡の中のシート■
シートが鏡をそっとのぞくと、鏡のなかのシートは
いつしか勝手にうごきはじめました。
苦手なはずの雷のなかで
ゆううつなはずの雨のなかでおどっているのです。
手にもった原稿用紙とペンもまるで
雨音と一緒に踊っているようではありませんか。
鏡のなかのシートは歌っています。
キラキラひかる、あまつぶひとつ。
あまつぶあまく、からだをばがれ。
たどりついたら、げんこうようし。
うえにあるのは、ペンとインクと。
てがみをわたす、はなをとどける。
ふたりのゆめを、かなえてあげる・・・。
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