タイトル画像

第三幕「銀の鏡と、鏡の世界のシート」
Through the Mad-Looking-Glass, and What Sheet Found There


あまりにびっくりしたシートは、紙の原っぱまで走ってきていました。
すると、ひとつぶ、ふたつぶ、小雨がふりはじめました。
そこでシートは、ちいさな洞窟で雨宿りをすることにしたようです。
原っぱのとおくにコンフぇのすがたが見えます。
ずいぶんと元気がない様子ですが、どうかしたのでしょうか。
とはいえ、みつかるとまためんどくさそうなので、
シートは洞窟の奥でかくれることにしました。
ところがどうでしょう。洞窟をおくにすすめばすすむほど、
まわりの壁は、銀にかがやく鏡になっているではありませんか。
そしてそこにいたのは、銀の鏡の化身・バウォックです。
バウォックはそっと一枚の鏡をシートにさしだし、その中をのぞくようにささやきます。
バウォック
■銀の鏡の化身・バウォック■


シート
■鏡の中のシート■

シートが鏡をそっとのぞくと、鏡のなかのシートは
いつしか勝手にうごきはじめました。
苦手なはずの雷のなかで
ゆううつなはずの雨のなかでおどっているのです。
手にもった原稿用紙とペンもまるで
雨音と一緒に踊っているようではありませんか。
鏡のなかのシートは歌っています。
  キラキラひかる、あまつぶひとつ。
  あまつぶあまく、からだをばがれ。
  たどりついたら、げんこうようし。
  うえにあるのは、ペンとインクと。
  てがみをわたす、はなをとどける。
  ふたりのゆめを、かなえてあげる・・・。

本ページ並びにyume-kibou.comに掲載の全ての文章・写真・イラストの著作権は夢奇房に帰属します。
ストーリー並びにイラストの無断転載・転記を禁じます。