い……
い、い、い、い、いよいよ。
いよいよ初舞台を迎えるのね!
ああ、鳴り響く拍手と歓声の嵐が聞こえてくる。
って、行き急いだら駄目あたし!
思い起こせば今まで、背が低いとか、田舎くさいとか、字が汚いとか、
散々な理由で人生つまづいてきたけど、それもこれを期に好転するはず。
ステージ女優としてのスタートを切るの。
しかもあの憧れのラシャとレザックと一緒に立てるなんて本当に夢みたい。いつもラシャとこぶしを合わせる度に胸が弾んでいること気づかれてないかな。
レザックの後頭部の髪の生え際から首筋にかけてを見るのが好きなんてバレたらもう生きていけない!
って、バカあたし!今は舞台のことだけを考えるの!
今更だけど、いきなりこんな大舞台に立って大丈夫なのかな。
私ちゃんと舞台に立てるのかな…。
ううん、私は舞台の上で楽しむだけ。
そしてお客さんに楽しんでもらうだけ。
ペーパーランドの皆の笑顔のために、
果ては未来の大女優になるために、
今は自分にできる精一杯のことをやるだけ。
さあて、メンバーのみんなのためにアップルパイでも焼こうかな。
背は低いし字は汚いけど、アップルパイだけは絶品なんだから!
夢奇房は最初、憧れの人たちがいる場所でした。
当初私は自分を曝け出す場を恐れてステージから逃げていたので、ステージ上で堂々と自分自身を表現している人たち全てが憧憬の的であり、私自身からは遠い存在のように感じていました。
実際に訪れた過去の夢奇房の公演では、たくさんの夢、心地の良い空間を与えてもらい、人は何かを感じずには生きられないものなのだと実感させてもらった記憶があります。
何もないところから何かをつくりだすこと。自分自身を表現すること。
他者の共感を得ること。どれを取っても大きな人生の課題であり、それがわかりやすい形で表現されるものであればあるほど
多少の恐れを抱くものだと思います。だからこそ大きな感動を生むもので、 そういったものに向かっているのが夢奇房なんじゃないかなと思っています。
ですので、実はこうして今夢奇房の一員として存在している私自身に対して一番戸惑いを覚えます。
この憧れの舞台で、憧れの人たちの中で、果たして自分らしい表現をしきれるのか。
でも、とりあえず今は自分にできることを精一杯やるだけです。
そういった意味でチェシアと今の自分はシンクロ率100%。
そして「舞台を楽しんでもらいたい」と言ってくれた人の
言葉を受け取って、精一杯楽しみたいと思います!
終わったら就職活動…ずーん。
本当はそんなもの放っておいてヴァイオリンを習いたいです。
趣味:ヴァイオリン、とか履歴書に書きたい。か、かっこ良過ぎる。
あと、慰安旅行に行きたいです。
ええじゃないか!
ええじゃないかええじゃないか!