シートの小説の主人公、ヴェイルの恋人役コリーを演じました。
今回の私の演技は…なんというか、手品でもないし、ジャグリングでもダンスでもないという特殊なものでした。今回の公演で、拍手をとりにいかなかった演者は、私とOZ(郵便屋さん)だけだと思います。
それだけに、演技一つ一つを本当に大事にして、心を込めました。
たとえば、ヴェイル&コリー第2幕雨のシーン。雨を、コリーを通じてどう表現するのか。
私は雨にはなれません。私にあるのは、コリーという女の子の役だけ。
雨を払う動きや、雨雲を眺める動き、憂鬱な表情で表現しきれるのか。試行錯誤を繰り返しました。
ところが、私が演技を頑張り続けると、あとから傘をさして現れる、ヴェイルの登場を邪魔してしまうんです。
これが共演の怖さ。
だから、ヴェイルの登場時とそれから後は、コリーの演技は目立たないようゆっくりめにしているんです、実は。
こうしたところまで追求して考えられたのは、夢奇房メンバーの高い演技力と向上心のおかげです。私も負けてられない!と。
でも、共演したヴェイルは手品もあるので、一緒に演技を合わせる時間がなかったり、なかなか進まないヴェイルの手品が心配だったり…それなのに私は何も手伝いできなくて…
私の思いは練習の忙しさや時間不足のなかでこぼれ落ちるばかりで、苦しい思いもしました。
それでもやっぱり、小説の主人公はヴェイルだから、ヴェイルの心をあの短い出演時間でお客様に伝えなくてはならない…ヴェイル本人以外では、だれができるでしょうか。
コリーだけです。
その思いが私を突き動かし、無い演劇の経験と知識を振り絞る力となりました。
そして、コリーの揺れる恋心も。
こうして大切に作った私のコリー、うまく表現できた…のでしょうか。
相方がいるって本当に大変ですが、時に私の持っている力以上のものを引き出してくれました。家の柱をヴェイルに見立てて演技の練習をしたのは、今ではいい思い出です(笑)。
第4回公演は、私にとって大きな成長の場となりました。今後の目標は、更なるハードな練習と荷物運搬に耐えうる持久力と筋力と敏捷性をつけることです(笑)。
支えてくださった多くの方々に感謝します。
こんな私を相方にと声をかけてくれて、最後までつきあってくれたヴェイル役の佐久間君、楽しい時間と素敵な役をくれてありがとう!
夢奇房メンバーのみんな、忘れられない思い出をありがとう!
そして何よりも、見に来てくださったお客様、皆様こそが、私たちの支えであり夢奇房の原動力です。
本当にありがとうございました!